勝事（読み）ショウジ

デジタル大辞泉

しょう‐じ【勝事】

《「しょうし」とも》
１ あまり見られぬほどすばらしいこと。
「ことがらも希代の―にてありき」〈後鳥羽院御口伝〉
２ 異常な出来事。
「この事、天下てんがにおいてことなる―なれば、公卿僉議せんぎあり」〈平家・一〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

しょう‐じ【勝事】

1. 〘 名詞 〙 ( 古く「しょうし」とも )
2. ① 人の耳目をひくようなすばらしいこと。世にも珍しい、すぐれたこと。名誉になるようなこと。
   1. [初出の実例]「対治懈怠〈略〉爾時応_下寄_二種々勝事_一勧励_二上自心_一」(出典：往生要集（984‐985）大文五)
   2. 「ことがらも希代の勝事にてありき」(出典：後鳥羽院御口伝（1212‐27頃）)
3. ② 異常なできごと。特に、奇怪なこと、不吉なこと、騒動など、よくないことについていう。笑止。
   1. [初出の実例]「今日始出仕云云、気力被_レ損、依_レ為_二勝事_一、推被_二出仕_一歟」(出典：玉葉和歌集‐承安三年（1173）五月二一日)
   2. 「まことにさわぎたるけしきにて、せうしの候ふ、皇后宮の御かたに火のといふ」(出典：弁内侍日記（1278頃）宝治三年二月一日)

勝事の補助注記

②の意では「ショウシ」といわれることが多く、「笑止」の表記と混用され、一五世紀頃には、「笑止」にとって代わられたと考えられる。→しょうし（笑止）

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【勝事】しようじ

すぐれた、嘆称すべきこと。清・呉偉業〔王石谷の山水図を観るの歌〕詩　世の事、誰か能くらん　兵戈老い盡す、丹の客

字通「勝」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」