笑止(読み)ショウシ

デジタル大辞泉 「笑止」の意味・読み・例文・類語

しょう‐し〔セウ‐〕【笑止】

[名・形動]《「勝事」からか》
ばかばかしいこと。おかしいこと。また、そのさま。「笑止の至り」「笑止沙汰」「笑止なことを言う」
気の毒に思うこと。また、そのさま。
「老の歩みの見る目―に」〈露伴五重塔
困っていること。また、そのさま。
「あら―や、この御文の様も、頼み少なう見えて候」〈謡・熊野
恥ずかしく思うこと。また、そのさま。
「ほんにまあわしとした事が、始めての付け合ひになめたらしい、おお―」〈浄・嫩軍記
[類語]おかしいおもしろい滑稽こっけい傑作剽軽ひょうきん喜劇的ユーモラスコミカルばかばかしい馬鹿らしい馬鹿臭い詰まらない馬鹿愚か愚かしい阿呆らしい阿呆臭い下らない馬鹿げる愚劣無思慮ぶしりょ無考え浅はか浅薄せんぱく軽はずみ軽率笑い事笑止千万片腹痛い噴飯物噴飯笑い大笑い高笑い哄笑爆笑呵呵大笑抱腹絶倒笑い崩れる笑いける笑い転げる吹き出す腹の皮をよじ腹の皮を腹を抱える御中おなかを抱えるおとがいを解く愚にも付かぬへそで茶を沸かすへそ茶聞いてあきれるちゃんちゃらおかしい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「笑止」の意味・読み・例文・類語

しょう‐しセウ‥【笑止】

  1. 〘 名詞 〙
  2. しょうじ(勝事)
    1. [初出の実例]「今度の御座に笑止数多(あまた)あり。先法皇の御験者、次に后御産の時御殿の棟より甑(こしき)を転かす事あり」(出典:高野本平家(13C前)三)
    2. 「勝事 シャウシ 笑止」(出典:易林本節用集(1597))
  3. ( 形動 ) 困ったこと。困惑するような出来事。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「あら笑止や、にはかに日暮れ大雨降りて」(出典:謡曲・蟻通(1430頃))
  4. ( 形動 ) 気の毒に感じられること。同情すべきこと。いたましいこと。また、そのような対象のさま。
    1. [初出の実例]「わが恋は、水にもえたつほたるほたる、ものいはでせうしのほたる」(出典:歌謡・閑吟集(1518))
    2. 「はれそれは御太儀なと、笑止(セウシ)な顔はすれど」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂)
  5. ( 形動 ) ばかばかしくて、笑うべきこと。かたはらいたいこと。おかしなこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「注者の其処の文字を解するばかりなば、此様な事がせうしぞ」(出典:史記抄(1477)九)
    2. 「はじめのうちは笑止なほど、畏こまって膝頭を揃えていたが」(出典:湯葉(1960)〈芝木好子〉)
  6. ( 形動 ) 恥ずかしく思うこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「始ての付合になめたらしい、ヲヲ笑止と、袖震ふさへ廓めかし」(出典:浄瑠璃・一谷嫩軍記(1751)四)

笑止の補助注記

挙例の「高野本平家‐三」の箇所は、龍谷大学本では「今度の御産に勝事あまたあり」となっており、「勝事」と表記されている。「勝」と「笑」とは本来「ショウ」「セウ」として別音であるが、平安時代末にはその発音上の区別は失われていたと考えられる。

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