勝尾寺旧境内牓示八天石蔵および町石(読み)かつおうじきゅうけいだいぼうじはってんいしぐらおよびちょうせき

国指定史跡ガイド の解説

かつおうじきゅうけいだいぼうじはってんいしぐらおよびちょうせき【勝尾寺旧境内牓示八天石蔵および町石】


大阪府箕面(みのお)市粟生(あお)にある寺院。楓(かえで)の名勝として知られる箕面公園・箕面の滝から、北東約5kmにある勝尾寺山中腹に所在する。勝尾寺は、奈良時代に開成皇子によって創建された高野山真言宗の寺で、現在の堂宇は1642年(寛永19)の再建。八天石蔵とは、鎌倉時代に勝尾寺の寺領を示すため、旧境内の四方8ヵ所に設けられた牓示(境界を示す標識)のこと。銅造の仏像信楽(しがらき)焼の容器に入れて土の中に埋め、その上に石積みの壇を設けたもので、仏像・容器ともに発掘され、重要文化財に指定されている。この種の遺構としてきわめて珍しく、たんに寺の遺構としてだけでなく、領地の保護がいかに行われたかという、社会事象の資料としても貴重で保存状態もよく、旧参道に残る町石8基と合わせて、1966年(昭和41)に国の史跡に指定された。町石は、もともと西国街道から分かれる36町の参道に1町ごとに建てられていた標石で、現存するのは8基だけである。1247年(宝治1)建石の記録があり、花崗岩製の一石五輪で、地輪が長く、梵字、町数、願主が刻まれており、町石としては最古のものとされる。阪急電鉄宝塚本線石橋駅から阪急バス「勝尾寺口」下車徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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