信楽(読み)シガラキ

デジタル大辞泉 「信楽」の意味・読み・例文・類語

しがらき【信楽】

滋賀県南部、甲賀こうか市の地名信楽焼産地。また、高級茶を産する。聖武天皇紫香楽しがらき跡がある。
信楽焼」の略。

しん‐ぎょう〔‐ゲウ〕【信楽】

仏語。教えを信じ喜ぶこと。阿弥陀仏本願を信じて疑わないこと。

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精選版 日本国語大辞典 「信楽」の意味・読み・例文・類語

しがらき【信楽】

  1. [ 1 ] 滋賀県甲賀市の西南部の地名。上代、聖武天皇が紫香楽宮(しがらきのみや)を造営。信楽焼の産地として名高く、茶の産地としても知られている。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. しがらきやき(信楽焼)」の略。
      1. [初出の実例]「水指 しからき」(出典:宗達茶湯日記(自会記)‐弘治二年(1556)一二月二八日)
    2. しがらきちゃ(信楽茶)」の略。
      1. [初出の実例]「此お茶は、しがらきも及びませぬ」(出典:咄本・近目貫(1773)龍宮)
    3. しがらきがさ(信楽笠)」の略。

しん‐ぎょう‥ゲウ【信楽】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「楽」は願い求める意 ) 仏語。教法を信じそれを喜び、往生を願うこと。浄土門では、信心の意に解し、彌陀の本願の名号を信ずることとする。
    1. [初出の実例]「この法信楽(しんげう)するものは ながく三途の苦をはなる」(出典:浄業和讚(995‐1335)上)
    2. [その他の文献]〔無量寿経‐上〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「信楽」の意味・わかりやすい解説

信楽
しがらき

滋賀県南端、甲賀郡(こうかぐん)にあった旧町名(信楽町(ちょう))。現在は甲賀市の南西部を占める一地区。1930年(昭和5)長野町が信楽町と改称、1954年(昭和29)雲井、小原(おはら)、朝宮(あさみや)、多羅尾(たらお)の4村を合併。2004年(平成16)水口(みなくち)町、土山(つちやま)町、甲賀町甲南(こうなん)町と合併、市制を施行して甲賀市となる。旧町域は、大戸(だいと)川が南北に貫流する標高約300メートルの内陸盆地で、周囲は高原性の信楽山地(江城高原)である。信楽高原鐵道、国道307号、422号、新名神高速道路が通じる。名称は奈良時代の紫香楽(しがらき)宮と信楽焼に由来する。北東部の宮町から黄瀬(きのせ)、牧にかけては、聖武(しょうむ)天皇の紫香楽宮が造営された地で、国の史跡に指定され、内裏や甲賀寺(甲賀国分寺)などの跡が残る。また、『延喜式(えんぎしき)』の甲賀牧の地で、保良(ほら)寺、仙禅寺、式内社の飯道(いいみち)神社(本殿は国の重要文化財)などもある。多羅尾は旗本多羅尾氏の陣屋が置かれた地。鎌倉時代に始まる信楽陶業の中心は長野地区で、県立陶芸の森の中に信楽産業展示館、陶芸の森陶芸館などがつくられている。西部の朝宮地区は玉露など高級茶の産地として知られる。

高橋誠一

『『信楽町史』(1957・信楽町)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信楽」の意味・わかりやすい解説

信楽
しがらき

滋賀県南部,甲賀市西部の旧町域。信楽川,大戸川上流域を占め,花崗岩と古琵琶湖層から形成された信楽山地の低い山々に囲まれる(→古琵琶湖層群)。1930年,長野町が町名変更。1954年雲井村,小原村,朝宮村,多羅尾村の 4村と合体。2004年水口町,土山町,甲賀町,甲南町と合体して甲賀市となった。古くから信楽焼の産地として知られ,火鉢,植木鉢,タイルなどを産出。タヌキの焼き物は特に有名。中心地区の長野の近くに古代陶窯跡がある。西部の朝宮一帯は宇治茶の産地。北部の黄瀬に聖武天皇造営の紫香楽宮跡(国指定史跡)がある。飯道神社の本殿は国の重要文化財に指定。一部は三上・田上・信楽県立自然公園に属する。

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百科事典マイペディア 「信楽」の意味・わかりやすい解説

信楽[町]【しがらき】

滋賀県南部,甲賀(こうか)郡の旧町。大戸(だいど)川の上流域の山地を占める。信楽焼の産で知られ,火鉢,植木鉢などを産する。西部の朝宮は茶の産地。米,野菜も産する。紫香楽宮(しがらきのみや)跡がある。信楽高原鉄道が通じる。2004年10月甲賀郡水口町,土山町,甲賀町,甲南町と合併し,甲賀市となる。164.34km2。1万4229人(2003)。

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改訂新版 世界大百科事典 「信楽」の意味・わかりやすい解説

信楽 (しがらき)

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世界大百科事典(旧版)内の信楽の言及

【信心】より

…信仰というのもおなじであるが,信心はひろく通俗性をもっている。しかし仏教で〈信〉とか〈信楽(しんぎよう)〉といえば,絶対的帰依の哲学的意味をもたせる。したがって〈浄土を信楽する〉〈本願を信ずる〉とはいっても,浄土・本願を信心するといわない。…

【他力本願】より

…また親鸞は〈名号を称ふといふとも,他力本願を信ぜざらんは辺地に生るべし。本願他力を深く信ぜん輩は,なにごとにかは辺地の往生にて候べき〉(《末灯鈔》)と他力本願の信・不信によって往生の場所がちがうことを教え,また〈弥陀如来の御ちかひのなかに,撰択摂取(せんちやくせつしゆ)したまへる第十八の念仏往生の本願を信楽(しんぎよう)するを他力とまふすなり。如来の御ちかひなれば他力には義なきを義とす,と聖人のおほせことにてありき(略)他力は本願を信楽して往生必定なるゆへにさらに義なしとなり〉(同上)と述べ,弥陀の本願を信楽(信じ願うこと)してはからいの無いことが他力だと説いている。…

※「信楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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