勢多御厨(読み)せたのみくりや

日本歴史地名大系 「勢多御厨」の解説

勢多御厨
せたのみくりや

勢多に置かれた御厨。交通の要所である勢多は瀬田せた川河口部に位置し、湖川で漁労にいそしむ人々の拠点の一であったのだろう。元慶七年(八八三)一〇月二六日の太政官符(類聚三代格)に「勢多」御厨とみえ、朝廷に贄を出す贄人が存在した。「近江栗太郡志」は勢多御厨を粟津あわづ橋本はしもと大江おおえ大萱おおがや松本まつもとの各御厨の総称とするが、少なくとも粟津御厨または粟津橋本御厨は勢多御厨を源流とするものであろう(→粟津橋本御厨琵琶湖。建保三年(一二一五)三月一七日の官宣旨(山本修二氏所蔵文書)生魚を供御する「粟津勢多御厨」がみえるが、この勢多御厨は粟津を除く地をさすのであろうか。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の勢多御厨の言及

【勢多】より

…荘園も奈良朝に開田され,造東大寺司領の勢多荘は,田上山から勢田津に集められる材木調達用途にあてられており,761年(天平宝字5)の石山寺造営にも同じ機能を果たした。 一方漁労民を贄人(にえびと)として組織化した内膳司領勢多御厨では,フナやフナずしを朝廷に貢進した。瀬田川東岸の,唐橋近在は中世には橋本と呼ばれ,その地の贄人は中世では橋本供御人として内蔵寮の被官となり,日次御贄(ひなみのみにえ)を御厨子所(みずしどころ)に,神供を内侍所に,日次供御コイ等を内膳司に備進した。…

※「勢多御厨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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