北条氏邸跡〈円成寺跡〉(読み)ほうじょうしていあと〈えんじょうじあと〉

国指定史跡ガイド 「北条氏邸跡〈円成寺跡〉」の解説

ほうじょうしていあと〈えんじょうじあと〉【北条氏邸跡〈円成寺跡〉】


静岡県伊豆の国市寺家にある館跡。同市韮山(にらやま)町の守山の麓、狩野(かの)川沿いに位置し、かつては北条氏の本拠地で、鎌倉時代には伊豆北条と呼ばれ、鎌倉幕府執権を務めた北条氏の出身地にある居館跡。守山の東側には北条時政が建立した氏寺であり、運慶作の不動明王像などで知られる願成就院(がんじょうじゅいん)が建立され、北西側の谷の内部に館が建造された。室町時代初期の北条氏滅亡後は、北条貞時の側室で高時の母、覚海円成(かくかいえんじょう)が一族の女性たちとともに韮山に移り住み、一族の菩提を弔うために円成寺を建立した。その後、室町時代には関東管領だった上杉氏の娘などが尼僧としてこの寺に入ったが、のちに廃寺となった。発掘調査の結果、平安時代末期~鎌倉時代初頭の大量の出土遺物とともに、北条氏が鎌倉に本拠地を移すまでの館跡と北条氏滅亡後の円成寺跡が発見され、北条氏の興亡を物語る遺跡として1996年(平成8)に国の史跡に指定され、2005年(平成17)に追加指定があった。今後は史跡公園としての整備が計画されている。伊豆箱根鉄道韮山駅から徒歩約25分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android