北東の風(読み)ほくとうのかぜ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「北東の風」の意味・わかりやすい解説

北東の風
ほくとうのかぜ

久板栄二郎(ひさいたえいじろう)の戯曲。5幕7場。1937年(昭和12)4月『文芸』に発表。同年3月新協劇団が杉本良吉(りょうきち)演出により初演。1901年(明治34)初夏、理想家肌の東亜紡支配人(のち社長)豊原(とよはら)恵太は、強気の経営と温情的な待遇改善策により不況を乗り切る。1929年秋、金解禁策反対のため政界入りした豊原は、会社の危地脱出のためやむなく給与削減策を打ち出し、争議の渦に巻き込まれる。豊原は争議団に家族主義的解決を訴えるが、対立は激化一途をたどる。鐘紡(かねぼう)(のちカネボウ)の社長武藤山治(むとうさんじ)がモデルといわれ、自由主義的な一資本家が時代の波にもまれて苦闘する姿を透徹したリアリズムで描いた記念碑的作品。この第二部として『千万人と雖(いえど)も我(われ)行かん』(1938)が書かれた。

[大島 勉]

『『久板栄二郎戯曲集』全1巻(1972・テアトロ)』

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