日本大百科全書(ニッポニカ) 「医之弁」の意味・わかりやすい解説 医之弁いのべん 医書。著者は、戦国から江戸前期の名医、永田徳本(とくほん)。1585年(天正13)に沢蔵司という禅僧に伝授したもので、全1巻。1837年(天保8)の模刻本がある。あらゆる疾病は鬱滞(うったい)に起因し、多くは風寒の冒すところによって発病に至ると説き、治療法は当時一般的であった温補療法を排し、攻撃性の薬剤を採用している。漢方の聖典『傷寒論』を日本で初めて臨床に応用し、その有用性を強調した点に特徴があり、徳本の医学観をうかがうことができる。[小曽戸洋] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例