医療用サイクロトロン(読み)いりょうようサイクロトロン(英語表記)cyclotron for medical use

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「医療用サイクロトロン」の意味・わかりやすい解説

医療用サイクロトロン
いりょうようサイクロトロン
cyclotron for medical use

小型化して医療用に使いやすくしたサイクロトロン。サイクロトロンとは強い磁場の中で,陽子重陽子などの電気をもった粒子 (荷電粒子) を高周波電圧によって加速して,数千万ボルトのエネルギーをもつようにする装置で,これを電極外に引出し,原子核に衝突させると多量の中性子などを発生する。エネルギーの大きい速中性子は癌に対する放射線治療に用いられ,悪性黒色腫骨肉腫など,これまで放射線の効果が上がらなかった腫瘍の治療に好結果が得られ,研究が進められている。速中性子は生物学的効果比(RBE)が高く,また低酸素細胞を多く含む放射線抵抗性癌に対して効果が大きいことから,この種の癌の治療に期待が寄せられている。さらに医療用サイクロトロンは,核医学で重要な短寿命の放射線同位元素の製造装置としても利用される。

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