日本大百科全書(ニッポニカ) 「十二ヶ郷用水」の意味・わかりやすい解説
十二ヶ郷用水
じゅうにかごうようすい
岡山県南部、総社(そうじゃ)市にある用水路。湛井(たたい)で高梁(たかはし)川から取水し、東流しつつ多くの分水を派生する。児島(こじま)湾干拓地の興除(こうじょ)に至る農業用水路で、灌漑(かんがい)面積約5000ヘクタール、西日本有数の規模である。江戸時代に刑部(おさかべ)、真壁、八田部(やたべ)、三輪、三須(みす)、服部(はっとり)、生石(おいし)、加茂、庭瀬(にわせ)、撫川(なつかわ)、庄(しょう)、妹尾(せのお)の12郷68村を灌漑したのでこの名がある。最初につくられたのは平安初期にさかのぼる説もあり、また寿永(じゅえい)年間(1182~1184)に豪族で平氏の家人である妹尾兼康(かねやす)が大改修を行い、取水口を現在地に移築したとする伝承がある。1965年(昭和40)湛井堰(せき)は高梁川下流域の合同堰として、重力式コンクリート固定堰に改修され、関係市町村による湛井十二ヶ郷組合が運営している。
[由比浜省吾]