日本大百科全書(ニッポニカ) 「南極資源条約」の意味・わかりやすい解説
南極資源条約
なんきょくしげんじょうやく
南極の資源に関する諸条約をいう。南緯60度以南の南極地域は1959年の南極条約によって領土権が凍結されたが、資源の開発や配分については規定されなかった。そこでこの問題は南極条約協議会議において審議されており、石油その他の鉱物資源に関してはまだ合意ができていないが、生物資源に関しては一定の成果があった。とくに南氷洋での漁業について、従来から国際捕鯨取締条約によりクジラの捕獲が規制されていたが、協議会議の審議に基づき、1972年に南極アザラシ保存条約が採択された。さらに1980年には南極海洋生物資源保存条約が調印され、主としてオキアミの漁獲規制のため、資源調査に基づいて保存措置を作成する委員会と、その下部機関としての科学委員会が設置されることになった。日本はこの条約の締約国となり、協議会議の勧告を受け入れて、82年「南極地域の動物相及び植物相の保存に関する法律」を制定した。
[太寿堂鼎]