南米南部共同市場(読み)ナンベイナンブキョウドウシジョウ(その他表記)Mercado Comun del Sur; MERCOSUR

デジタル大辞泉 「南米南部共同市場」の意味・読み・例文・類語

なんべいなんぶ‐きょうどうしじょう〔‐キヨウドウシヂヤウ〕【南米南部共同市場】

メルコスル

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百科事典マイペディア 「南米南部共同市場」の意味・わかりやすい解説

南米南部共同市場【なんべいなんぶきょうどうしじょう】

メルコスールMERCOSURの訳。Mercado Comun del Sur の略。1991年ブラジルアルゼンチンウルグアイパラグアイの4ヵ国首脳がパラグアイのアスンシオンで合意した南米の共同市場構想。1994年12月,4ヵ国首脳がブラジルのオウロ・プレトで最終議定書に調印。発足は1995年1月1日。主な内容は域内関税(サービス分野を除く)は約90%の品目について撤廃,残りも1998年までに全廃対外共通関税は85%の品目について平均12%を課すというもの。チリボリビアペルーの3ヵ国は準加盟。 1996年にはチリと自由貿易協定を締結。1997年4月さらにベネズエラエクアドル,ペルー,ボリビア,コロンビアの5ヵ国からなる〈アンデス共同体〉も,メルコスールとの連携を強める〈スクレ決議〉に署名した。2003年12月メルコスールとアンデス共同体は自由貿易協定(FTA)を締結,締結済みのチリを加え計10ヵ国,人口約3億5000万人の自由貿易圏が誕生した。
→関連項目アルゼンチンウルグアイチリパラグアイブラジルベネズエラボリビアラテン・アメリカ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南米南部共同市場」の意味・わかりやすい解説

南米南部共同市場
なんべいなんぶきょうどうしじょう
Mercado Comun del Sur; MERCOSUR

アルゼンチン,ブラジル,パラグアイ,ウルグアイの 4ヵ国によって 1995年1月に発足したヨーロッパ連合 EU型の共同市場。メルコスールともいう。中南米諸国の経済統合を目指すラテンアメリカ自由貿易連合 LAFTAと,その後身である中南米統合連合 LAIAを母体とする。本部所在地はウルグアイのモンテビデオ。意思決定機関としての共同市場理事会 CMC,執行機関の共同市場グループ GMC,商業政策の監督と貿易紛争処理に取り組む貿易委員会 CCM,企業や労働組合の意見表明の場となる経済社会諮問フォーラムで構成される。1991年3月,パラグアイの首都アスンシオンでの首脳会議で合意,共同宣言で発表された構想を基本とし,1994年末までの域内関税および数量規制の撤廃のほか,対外共通関税の設定や税関業務の簡素化などが盛り込まれた。1994年12月に 4ヵ国首脳が最終議定書に調印。1995年1月1日に自由貿易区域と関税同盟が正式に設けられた。加盟国は非加盟国からの輸入品に共通関税をかけることに合意したものの税率の不統一は続いた。2003年にアンデス共同体との自由貿易協定に調印。2007年には加盟国で構成する新議会がモンテビデオで発足した。2012年にパラグアイのフェルナンド・ルゴ大統領が弾劾されたことを問題視したブラジル,アルゼンチン,ウルグアイはパラグアイの加盟資格を 2013年まで停止する決議案に賛成した。また資格停止のパラグアイを除く 3加盟国はベネズエラを 2012年7月31日付で正式加盟国にすることを発表した。

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知恵蔵 「南米南部共同市場」の解説

南米南部共同市場

南米に共同市場を形成しようと1991年、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国がパラグアイのアスンシオンで調印、結成した。94年12月には4カ国首脳がブラジルのオーロプレットに集まり最終議定書に調印。これにより95年1月、域内関税の原則撤廃と域外共通関税を実施する関税同盟が発足。2006年7月にはベネズエラが正式加盟し、人口約2億6500万、国内総生産(GDP)の合計約1兆1400億ドルの自由貿易圏へと拡大した。チリ、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビアが準加盟国となった。03年にはアンデス・グループ(アンデス共同体)との間で、自由貿易協定を締結した。これで南米10カ国を網羅する自由貿易圏が生まれることになった。一方で、欧州連合(EU)とのFTA交渉は難航した。アルゼンチンの金融危機や加盟国間の不和も目立つが、米国を中心としたFTAAに対抗、南米独自の発言力の確保を狙う。04年7月にはメキシコも加盟の手続きに入り、05年5月には中東の湾岸諸国と自由貿易協定の締結に向けて交渉開始で合意するなど、南米の域外に拡大する勢いだ。07年5月にはメルコスール議会が発足し、政治統合への一歩を踏み出した。6月の首脳会議では加盟国内の格差の克服を目指す共同声明を採択した。

(伊藤千尋 朝日新聞記者 / 2008年)


南米南部共同市場

ブラジルとアルゼンチンが進めた構想に、ウルグアイ、パラグアイが加わり、アスンシオン条約(1991年3月)で基礎が据えられた。対外共通関税により域内で財、サービス、労働力の自由市場を目指す。95年1月に発足し、その後チリ、ボリビア、ペルー、ベネズエラ、エクアドル、コロンビアが準加盟国となった(ベネズエラは2006年7月に正式加盟)。発足当初はアルゼンチン、ブラジルがそれぞれ対ドル為替相場を安定させていたので、相互に貿易が順調に伸びた。しかし統合協定は為替相場の安定措置を含まないので、99年のブラジル通貨危機や、アルゼンチン経済危機などで通貨が切り下げられると、域内取引が混乱した。またブラジル、アルゼンチンの間で加盟国を拡大するか、統合を強化するかをめぐって意見が対立している。メルコスールはEUと自由貿易協定の交渉を開始し、2004年10月までに合意を目指していたが、具体的な進展はない。ブラジルは、ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、べネズエラが結成しているアンデス共同体(CAN)とメルコスールを連携させて、南米を包括した自由貿易地域を目指している。

(石見徹 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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