ブラジル、アルゼンチンなど南米諸国が結んでいる経済連携協定。メルコスールはMercado Común del Sur(スペイン語)またはMercado Comun do Sul(ポルトガル語)の略であり、「南米南部共同市場」「南米共同市場」などと訳される。EU(ヨーロッパ連合)やNAFTA(ナフタ)(北米自由貿易協定)など世界的な地域協定設立の動きに呼応し、1991年にブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4か国で発足の合意がなされ(アスンシオン条約)、1995年に正式発足した。2017年時点での加盟国はアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ボリビアの6か国であるが、2016年12月からベネズエラの加盟資格が停止されている。準加盟国はエクアドル、ガイアナ、コロンビア、スリナム、チリ、ペルーの6か国。事務局はウルグアイのモンテビデオにある。加盟国の総人口は3億0685万人(2017年国連推計)と南米全体の7割を占め、域内総生産(GDP)は2.7兆ドル(2016年IMF推定)と南米の8割弱に達する。砂糖、自動車・同部品などの保護品目を除き、域内関税を原則ゼロとしており、域外には共通関税を適用する関税同盟である。紛争処理のための常設仲裁裁判所を設置。1990年代後半のブラジル通貨危機時には、メルコスールの場で紛争を解決した実績をもつ。ただ加盟国のインフレ率が高く、政府債務は高水準であり、加盟各国は放漫な財政運営や保護主義的な通商政策をとりがちで、加盟国間でメルコスールの政策をめぐって対立がたびたび表面化している。NAFTAとメルコスールで米州自由貿易圏(FTAA)を創設しようとの動きもあるが進展していない。なお中南米にはメルコスールのほか、メキシコ、チリなどが経済統合を目ざす太平洋同盟Alianza del Pacífico(スペイン語)や、ボリビア、エクアドル、ペルーなどによる関税同盟のアンデス共同体が存在する。メルコスールはアンデス共同体と相互に準加盟国の関係にあり、自由貿易協定を結んでいる。
[矢野 武 2018年1月19日]
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