単振り子(読み)たんふりこ(その他表記)simple pendulum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「単振り子」の意味・わかりやすい解説

単振り子
たんふりこ
simple pendulum

円振り子ともいう。重力の作用のもとで,固定点から軽い糸でつるしたおもりが,1つの鉛直面内で円弧または円周を描いて動く振り子。固定点を通る鉛直線の左右に小さい振幅で振れる往復運動 (微小振動という) は近似的に単振動となり,その周期は (lは糸の長さ,g は重力加速度) であって,おもりの質量や振幅に関係しない。周期が振幅に関係しない事実を振り子の等時性といい,ピサの聖堂礼拝に行った G.ガリレイが吊り灯のふれを自分の脈拍と比較してこの事実を発見した (1581) 。等時性を応用して振り子時計を発明したのは C.ホイヘンスである (1656) 。しかし,単振り子の振幅が大きくなるに伴って周期は大きくなる。たとえば角振幅 30°では周期が約1%大きくなって,等時性が破れてくる。また,おもりの速さが増すと振幅が次第に大きくなり,ついにおもりは固定点の真上を通過して,振り子は鉛直面内で円を描いて周回運動するようになる。なお,鉛直面内にあるなめらかな円周に沿った玉の運動は,単振り子の運動と同じである。 J.-B.-L.フーコーは長い単振り子が長時間にわたって振動するとき,その振動面が鉛直線のまわりを回転することから地球自転を証明した。

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