厩坂(読み)うまやさか

百科事典マイペディア 「厩坂」の意味・わかりやすい解説

厩坂【うまやさか】

日本書紀》にみえる地名。奈良県橿原(かしはら)市域と考えられる。同書応神天皇3年10月条に東の蝦夷(えみし)を使って厩坂道を造ったとみえる。同15年8月条によると,百済(くだら)王の遣わした阿直岐(あちき)に命じて軽坂上(かるのさかのうえ)の厩で良馬2匹を飼育させたといい,現大軽(おおがる)町付近と推定される。同書によると舒明天皇の時代に厩坂宮があった。奈良興福寺前身厩坂寺と呼ばれ,大軽町の北,現久米町と石川町の境の小字丈六(じょうろく)を寺跡とする説がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「厩坂」の意味・わかりやすい解説

厩坂 (うまやさか)

奈良県橿原市付近の歴史地名。応神朝に,百済から貢上された馬を飼育した所。《日本書紀》応神3年10月条に,東の蝦夷を役して厩坂道を作ったこと,15年8月条に,百済王の遣わした阿直岐(あちき)に命じ,軽坂上(かるのさかのうえ)の厩で良馬2匹を飼育させた記事がみえている。軽衢(かるのちまた)から南方の緩やかな坂を指すのであろう。厩坂道は下ッ道の前身かと思われる。厩坂の近くには,応神天皇の軽島豊明宮が伝承され,また,舒明朝には厩坂宮が営まれている。興福寺の前身である厩坂寺もこの付近にあった。橿原市久米町と石川町の境に所在する小字丈六(じようろく)は,あるいは厩坂寺と関連を有するかもしれない。
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