需要者側も供給者側も独占者である市場形態。一企業内部での労働の需給が,需要は企業によって,供給は労働組合によって,コントロールされている状態が典型例である。双方独占は伝統的には,売手独占による独占的供給価格(限界収入と限界費用を等しくする価格)と,買手独占による独占的需要価格(限界支出と限界生産物価値を等しくする価格)との中間に価格が設定されると考えられてきた。しかし,双方独占の状況では価格が決定される必要はなく,双方にとっての利益(余剰)をまず最大にしたうえで,その利益が両者の交渉によって分配されると考えられるべきであり,協力ゲームの解(たとえばナッシュ解)を使うことによって分析されるべきである。
執筆者:奥野 正寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… まず,一つの市場に存在する企業の数が1の場合は独占であり,それは当面の企業が生産物の供給者であるか需要者であるかにしたがって供給独占あるいは需要独占に区別される。また両者とも単一の企業である場合を双方独占という。つぎに,多数の需要者に対して数個ないし十数個の企業が相互間に無視できない経済的影響を及ぼしあって競争しているケースが典型的な寡占であり,企業数が2の寡占をとくに複占という。…
※「双方独占」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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