改訂新版 世界大百科事典 「口径合成」の意味・わかりやすい解説
口径合成 (こうけいごうせい)
aperture synthesis
小さいアンテナを複数個使って大きい開口の電波望遠鏡と同じ観測をする技術。開口合成ともいう。これと対比させて,パラボラアンテナなどの電波望遠鏡は単一開口と呼ばれることがある。干渉計の一種で,合成には電波の干渉を用いる。これによって,単一開口では不可能な数kmから地球規模までの開口が可能になり分解能の高い電波写真が得られるようになった。代表的な口径合成用望遠鏡としては,アメリカのニューメキシコ州ソコロの国立電波天文台にあるVLA(very large arrayの略)直径25mアンテナ27台,全長20km,基線3本,オランダのウェステルボルクにあるライデン大学の直径25m14台,全長3.2km,イギリスのケンブリッジにあるケンブリッジ大学の直径13m8台,全長5kmなどがある。日本ではミリ波用としては世界で初めての10m5素子干渉計(1983完成)がある。
執筆者:森本 雅樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報