古久保家日記(読み)こくぼけにつき

日本歴史地名大系 「古久保家日記」の解説

古久保家日記
こくぼけにつき

解説 京都府立総合資料館所蔵の古久保家文書に含まれている、三十数冊の「番日記」をさす。古久保家は、寛文八年(一六六八)から明治維新まで上京下西陣組の町代を務めていた。「番日記」は、京都町奉行所の一郭にあった町代部屋(春日部屋)に出仕し職務に従事した町代が、その日の公事訴訟等を書き留めた日次の詰番記録である。延宝三年(一六七五)から文久三年(一八六三)にかけて断続的に遺されているが、明和年間(一七六四—七二)以降のものが古久保個人の勤番日次の性格が強いのに対し、延宝から宝暦にかけての大冊は、公的な町代部屋番日記としての形状が十分にうかがえるものである。町代の職務は、町触の伝達年頭拝礼、町中公事人の呼出し、女手形への加判、町中の検使等の立会い等々二十数項目に及んでおり、かかる業務に専念する過程で町代は町年寄に替わる実質の洛中町組支配の階層へと成長を遂げる。「番日記」の内容は、出火の届、行倒れ人の処理、家出人捜し、人数改め等々庶民生活の実態を浮彫りにするさまざまの事件が盛込まれており、京都民政研究にとって貴重な史料

活字本 日本都市生活史料集成一(三都篇I)に一部収録。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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