検使(読み)ケンシ

デジタル大辞泉 「検使」の意味・読み・例文・類語

けん‐し【検使】

中世事実を見届けるために派遣される使者実検使
江戸時代殺傷変死現場に出向いて調べること。また、その役人

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「検使」の解説

検使
けんし

中世では,事情の検分のため臨時に派遣される使者という意味で広範囲に使用され,鎌倉時代には実検使といい,室町時代以降「検使」の称が定着したという。江戸時代には犯罪の現場検証,刑罰執行の検分,土地境界争いの見分,災害の実況検分などを行う行為,およびそれを行う役人の呼称として用いられた。事件がおこると,現場の管理者や発見者から検使願がだされたうえで,検使が派遣された。検使を勤める役人は場所や事件の内容などによって異なり,江戸の武家地では目付もしくは徒(かち)目付・小人(こびと)目付,寺社地・寺社領では大検使または小検使,町方では町奉行所同心,在方では代官所の手付・手代が派遣された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「検使」の意味・わかりやすい解説

検使
けんし

事実を按検するために派遣する使者。殺傷,変死などを検視する役人で,鎌倉時代には実検使と呼ばれ,室町時代から検使と称した。江戸時代には検使の制度が整い,大名領内の騒擾,城の明渡し,また大名,旗本切腹などには,格式に応じて検使が選定され,検屍の役を果した。

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