日本大百科全書(ニッポニカ) 「古盃動物」の意味・わかりやすい解説
古盃動物
こはいどうぶつ
[学] Archaeocyatha
古生代カンブリア紀に栄えた動物で、古杯動物とも書く。コップ状、らっぱ状の外形をなし、骨格は石灰質よりなる。内部は空腔(くうこう)(中央腔)で、上方は外に開いており、その径が1センチメートル内外のものが多い。壁は内壁、外壁の二重構造で、この間に隔壁、床板、泡沫(ほうまつ)組織などがある。構造は海綿に似た点があるが、海綿に特有な骨片をもたない。古盃類を海綿動物の1亜門とする考えもあるが、海綿動物と刺胞動物(腔腸動物)の間の独立門とすることが多い。海底で固着生活を送ったものが多く、多数集まって礁をつくることもあった。カンブリア紀の前期に栄え、中期の前半に急減絶滅し、その生息期間はきわめて短い。カンブリア紀の地層が未発見のわが国からは産出がない。アーケオキアタスArchaeocyathusは代表的な属である。
[藤山家徳]
『浅野清編『古生物学1』(1973・朝倉書店)』▽『福田芳生著『古生態図集・海の無脊椎動物』(1996・川島書店)』▽『速水格・森啓編『古生物の科学1 古生物の総説・分類』(1998・朝倉書店)』