泡沫(読み)うたかた(英語表記)bubble; foam; froth

精選版 日本国語大辞典 「泡沫」の意味・読み・例文・類語

うた‐かた【泡沫】

(「うたがた」とも)
[1] 〘名〙
① 水の上に浮いているあわ。水あわ。
※十巻本和名抄(934頃)一「霤 潦等附 〈略〉淮南子注云雨〈和名宇太加太〉」
② はかなく消えやすい物事のたとえにいう。→うたかたの
赤染衛門集(11C中)「雨降れば水に浮かべるうたかたの久しからぬは我身なりけり」
[2] 〘副〙
① あわのはかなく消えるように、少しの間も。しばらくのまも。
源氏(1001‐14頃)真木柱「ながめする軒のしづくに袖ぬれてうたかた人をしのばざらめや」
② =うたがたも
草根集(1473頃)一五「此世にてもゆる蛍は思ひ川うたかた誰にあはで消けむ」

ほう‐まつ ハウ‥【泡沫】

〘名〙 あわ。あぶく。うたかた。転じて、はかないもののたとえ。
万葉(8C後)五・八八六・序文「臨終之時 長歎息曰 伝聞 仮合之身易滅 泡沫之命難駐 所以千聖已去」
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二八「今や二年の艱苦終に泡沫(ハウマツ)に属せんとす」 〔徐陵‐天台山徐則法師碑〕

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デジタル大辞泉 「泡沫」の意味・読み・例文・類語

うた‐かた【泡沫】

《「うたがた」とも》
水面に浮かぶあわ。「泡沫ごとく消える」
はかなく消えやすいもののたとえ。「泡沫の恋」「泡沫の夢」
[補説]書名別項。→うたかた
[類語]あぶく水泡すいほう水泡みなわ泡沫ほうまつバブル気泡シャボン玉泡立つ

ほう‐まつ〔ハウ‐〕【泡×沫】

あわ。あぶく。「泡沫消火剤」
あわのようにはかないもの、問題にならないようなもののたとえ。「泡沫会社」「泡沫候補」
[類語]あぶく水泡すいほう水泡みなわ泡沫うたかたバブル気泡シャボン玉泡立つ

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普及版 字通 「泡沫」の読み・字形・画数・意味

【泡沫】ほう(はう)まつ

あわ。うたかた。南朝宋・謝霊運〔聚沫泡合賛〕水、性本(もと)無し。激に沫を聚む。ち異なりて貌すも、散、壑(きよがく)に歸す。

字通「泡」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「泡沫」の意味・わかりやすい解説

泡沫
ほうまつ
bubble; foam; froth

液体,固体の内部や表面に生じた気体の塊を気泡といい,気泡の集合状態を泡沫という。気泡,泡沫を総称して泡 (あわ) と呼ぶ。発泡する液体の多くは溶液で,純粋な液体は発泡しない。発泡の要因としては起泡力と安定度があり,前者には表面張力,後者には膜の機械的強度や液の薄膜中の流下速度が関与しており,両者の条件が合って発泡が起る。泡沫利用としては浮選,泡沫消火,泡沫コンクリート,ビールや石鹸の泡などがあり,泡沫の抑制の例としてはボイラの突沸,減圧,蒸留などにあたっての泡の制御がある。泡の消去には消泡剤を用いるが,発泡をあらかじめ押えるにはシリコーンなどの抑泡剤を使うことが多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「泡沫」の意味・わかりやすい解説

泡沫 (ほうまつ)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「泡沫」の意味・わかりやすい解説

泡沫
ほうまつ

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世界大百科事典(旧版)内の泡沫の言及

【泡】より

…限られた小空間に閉じ込められた気体分散系をいう。液体中の気体分散系,シャボン玉のように薄い液膜でかこまれた球形の気体などがあり,前者を気泡,後者を泡沫と呼ぶことが多い。気泡は,衝撃などにより液体が気体をまき込んだり,液中に気体を噴出させたり,あるいは加温,減圧などによる液中での気体の発生によって生成する。…

※「泡沫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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