美術品を売買する業者のうち、同時代もしくはそれに近い時代の作品を扱う業者に対して、古い時代の作品を扱うものをとくに区別して古美術商という。古美術の定義はかならずしも明確ではないが、世界各国とも、関税関係では、100年以上を経たものを「アンティック」と規定している。しかしヨーロッパの通念では、アンティックといえば、100年以上を経たものでも19世紀以後のものは含まず、日本でも明治以後のものは含まないのが普通である。これら先近代の作品は、物故作家のものとして普通の画商で扱われている。古美術商は、書画骨董(こっとう)を広く扱うが、そのなかでも特定の専門によっていくつかに分化している。骨董商を古美術商の通称とする場合もある。
[瀬木慎一]
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