古赤絵(読み)こあかえ

精選版 日本国語大辞典 「古赤絵」の意味・読み・例文・類語

こ‐あかえ‥あかヱ【古赤絵】

  1. 〘 名詞 〙 中国産の色絵磁器うち江戸時代の茶人小堀遠州の没年、すなわち正保四年(一六四七)頃までに日本に輸入されたもの。主に中国明代末期から清代初期にかけて景徳鎮窯で焼成されたものをさし、素朴な雅趣特徴。明代初期に焼かれたものを含める場合もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「古赤絵」の意味・わかりやすい解説

古赤絵
こあかえ

中国製の初期五彩磁器の称。わが国の茶人によって命名されたが、その時期はおそらく明治以降であろう。透明釉(ゆう)の陶胎に赤、緑、黄の3種の絵の具で上絵付した五彩(赤絵は日本での呼称)は、早く12世紀の金(きん)時代に中国の華北の磁州窯系の窯(かま)で創始された。しかしこの種の磁州窯五彩陶は、習慣として古赤絵とはよばない。その後この技法が元(げん)時代になって江南の景徳鎮窯に伝わり、白磁胎五彩がつくられてから明(みん)後期の嘉靖(かせい)・万暦(ばんれき)年間(1522~1619)までの、民窯の五彩磁を古赤絵と称する。元から明前期にかけては五彩はほとんど流行せず、後期になって爆発的に生産量を増やしていった。古赤絵は乳白色の素地を使い、釉下(ゆうか)には染付をまったく移すことのない上絵付物である。明るく澄んだ赤、緑、黄、青の釉彩を使って、民間で好まれる文様を表す。いかにも民窯らしい、屈託のない華やかな絵模様が親しみやすい。

[矢部良明]

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世界大百科事典(旧版)内の古赤絵の言及

【赤絵】より

…その後この技法は華北一帯の民窯,磁州窯系の陶技として改良普及され,明代の初期には当時磁器焼造の中心地であった景徳鎮窯にも導入されたものと見られている。まだ明代初期の赤絵については不明な点が多いが,15世紀には成化の豆彩(とうさい)(闘彩)として現れ,その後は日本で古赤絵と呼ぶ嘉靖期(1522‐66)以前の民窯の赤絵として量産された。続く嘉靖年間は赤絵の全盛期で民窯では金襴手,官窯では白磁や青花磁に五彩を加えたものを中心に,色釉地に色釉文様を加えた雑彩と呼ぶ濃麗な作品も作られた。…

【陶磁器】より

…永楽~宣徳期(1403‐35)には染付の優れた作が多く,元代の力強い絵付とは異なった,整ったすっきりとした作品が多い。弘治・正徳年間(1488‐1521)には黄地染付や黄地緑彩,赤絵などの雑彩磁が生まれ,とりわけ赤絵は景徳鎮民窯で盛んに焼造されて日本や東南アジアに輸出され,日本では〈古赤絵〉として珍重した。成化時代(1465‐87)には紙のように薄い胎の上に赤や緑,青で絵付を行った〈豆彩〉が生まれ,遺品は世界で数十点しかないといわれている。…

※「古赤絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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