群において,その演算が可換(乗法ならばab=ba,加法ならばa+b=b+aが,すべての2元a,bについて成立)であるとき,その群は可換群またはアーベル群Abelian groupであるという。N.H.アーベルが代数的に解ける方程式について研究した際に,ガロア群が可換群になるような拡大が扱われたので,この名があるという。
0以外の有理数全体,0以外の実数全体,0以外の複素数全体などは,乗法に関して,可換群をなす。加法に関して可換群をなすものを,加群または加法群と呼ぶ。可換群の他の例としては,群Gの一つの元aで生成された群A(これを巡回群という。乗法の場合は,A={an|n=0,±1,±2,……}),群Gの中心(Gのどの元とも可換な元全体)などがある。
有限個の元で生成された可換群は,有限個の巡回群の直積に分解する。
(1)p1<p2<……<pnが素数で,pi-1がpjの倍数ということが決しておきないときは,位数p1p2……pnの群は巡回群に限る。例えば素数,3×5,3×11,5×17×19などである。
(2)p1<p2<……<pnが素数で,eiが1または2piei-1がpjの倍数ということが決しておきないとき,位数の群は可換群に限る。例えば素数の平方,32×5,32×11,52×17×19などである。
執筆者:永田 雅宜
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「アーベル群」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 数の加法や乗法の場合には,条件(5)交換法則,すなわちa*b=b*aが満たされている。このような場合,可換群またはアーベル群と呼ぶ。今後,この項では群の演算の記号は省略して,積はabのようにかく。…
※「可換群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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