マドリガル

デジタル大辞泉 「マドリガル」の意味・読み・例文・類語

マドリガル(madrigal)

14世紀にイタリアで栄えた牧歌的叙情短詩。また、それにつけられた2~3声部の歌曲マドリガーレ
16世紀以降、イタリアで発達した多声世俗歌曲。のち、イギリスにも伝えられて独自の発展をみた。マドリガーレ。

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精選版 日本国語大辞典 「マドリガル」の意味・読み・例文・類語

マドリガル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] madrigal )
  2. 一四世紀にイタリアで流行した牧歌的抒情詩。また、それに基づく二~三声の歌曲。イタリア語名マドリガーレ。
  3. 一六世紀以降、イタリアで流行した三声部以上からなる世俗的多声曲。エリザベス朝のイギリスに移入されて独自の発展をとげた。

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百科事典マイペディア 「マドリガル」の意味・わかりやすい解説

マドリガル

イタリア語ではマドリガーレmadrigale。(1)ルネサンス期イタリアの小抒情詩。内容はパストラル風なものが多く,2〜3声の多声声楽曲として歌われた。(2)16世紀のイタリアから発達した高度の作曲技法による多声(ポリフォニー)の世俗歌曲の一種。(1)との関係はほとんどない。劇的表現が重視されるようになり,通奏低音つきの独唱カンタータ的なものも出現初期にはアルカデルトフランドル楽派によって多く作曲されたが,16世紀末から17世紀初頭に活躍したマレンツィオLuca Marenzio〔1553か1554-1599〕,ジェズアルドモンテベルディらの作品がよく知られる。これらイタリアのマドリガーレは1580年代以降英国で大量に紹介され,その影響下に英国独自のマドリガルが作られるようになった。代表的作曲家はバードダウランドなど。
→関連項目カッチーニガブリエリカンツォーネシャンソンシュッツスウェーリンクパレストリーナフレスコバルディベッキラッスス

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改訂新版 世界大百科事典 「マドリガル」の意味・わかりやすい解説

マドリガル
madrigal

16~17世紀にかけてイタリアとイギリスで流行したポリフォニーによる世俗歌曲の一種。語源はイタリアのマドリガーレmadrigaleで,元来詩の一形式で,そのような詩によるポリフォニックな歌曲は,すでに14世紀イタリアの作曲家によって手がけられていた。ペトラルカの詩にヤコポ・ダ・ボローニャJacopo da Bolognaが作曲した《Non al suo amante》などはそのよい例で,音楽的形式としては前半に反復をもつA A B型をとるのをその特徴としている。これに対して1530年以後盛んとなったルネサンス期のマドリガーレは自由形式によるのを常としている。同時代の他のイタリアの世俗曲に比べはるかに高尚で芸術的価値の高い内容の詩を歌詞とし,ポリフォニー技法によって詩の内容を描写しようとする傾向が強く,音による絵画的技法を意味するマドリガリズムmadrigalismという言葉をさえ生むに至った。初期の代表的作曲家にはベルドロPhilippe Verdelot(1470ころ-1552ころ),アルカデルト,フェスタCostanzo Festa(1490ころ-1545)らがあり,ウィラールトAdrian Willaert(1490ころ-1562),チプリアーノ・デ・ロレCipriano de Rore(1516ころ-65),デ・モンテPhilippe de Monte(1521-1603)らによって受け継がれていく。しかし,最も有名なのは後期の代表者マレンツィオジェズアルドモンテベルディらの作品である。

 これらイタリアのマドリガーレはエリザベス朝中期,特に1580年代以後大量にイギリスに紹介され,その影響によってイギリス独自のマドリガル様式が成立した。その主要な作曲家にはW.バード,モーリーThomas Morley(1557ころ-1602),ウィールクスThomas Weelkes(1575ころ-1623),ウィルビーJohn Wilbye(1574-1638),ウォードJohn Ward(1571-1638),ピルキントンFrancis Pilkington(1570ころ-1638),トムキンズThomas Tomkins(1572-1656)らを挙げることができる。彼らの作品によって代表されるマドリガル様式は,その基礎となったマドリガーレばかりでなく,カンツォネッタバレットなどのより軽いイタリア世俗歌曲や,フランスシャンソン要素をも取り入れた幅の広いものとなっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マドリガル」の意味・わかりやすい解説

マドリガル
madrigal

14世紀と,16世紀から 17世紀初頭にかけて栄えたイタリアの世俗声楽曲。 14世紀と 16世紀のものは本質的に異なり,前者は2ないし3連の3行詩に2行のリトルネロがつけられ,恋愛詩,田園詩など抒情的牧歌的な内容をもつ複音楽で,詩句の部分で同じ旋律が繰返されるのを特徴とし,14世紀後半に入ると衰退した。 16世紀には,前者とは無関係に当時流行していたフロットラを芸術的に洗練し,ペトラルカ,ボッカチオなどの詩をテキストにした5声部のポリフォニックなマドリガルが興った。 C.ローレ,L.マレンツィオ,C.ジェズアルド,C.モンテベルディらマドリガルの大家が続出し,半音階法,音画法など豊かな表現法が生み出され,カンタータ,オペラなどに大きな影響を与えた。また 16世紀のイタリア・マドリガルから影響を受けたイギリスなどの作品もマドリガルと呼ばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マドリガル」の意味・わかりやすい解説

マドリガル
まどりがる

マドリガーレ

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世界大百科事典(旧版)内のマドリガルの言及

【中世音楽】より

…代表的な詩人兼作曲家としてマショーが挙げられる。イタリアでは,マドリガーレ(マドリガル),バッラータballata(フランスのビルレー系),それにカノンの技法によるカッチャcacciaが数多く作られた。ヤコポ・ダ・ボローニャJacopo da Bologna(14世紀中ごろ活躍),盲目のランディーニらが知られている。…

※「マドリガル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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