何らかの基準において合理的に選択する主体たちの相互関係として,社会を描き出そうとする理論。この立場に徹した場合には,制度や社会的規範などのもろもろの社会的事実はすべて,合理的選択の絡まり合った結果として描き出せることになる。ゲームの理論や K. J.アローの業績 (一般不可能性定理の証明) などが,合理的選択理論の先駆的な業績である。これら先駆的な業績に見られるように,合理的選択理論は,今のところ,それによって社会現象を積極的に説明するというよりも,むしろ諸主体の合理的選択の集合として社会を記述することの困難の方をより多く示してきたといえるだろう。