吉井(長崎県)(読み)よしい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉井(長崎県)」の意味・わかりやすい解説

吉井(長崎県)
よしい

長崎県北松浦(きたまつうら)郡にあった旧町名(吉井町(まち))。現在は佐世保市(させぼし)北部を占める。旧吉井町は1951年(昭和26)町制施行。2005年(平成17)佐世保市に編入。旧町域は松浦鉄道、国道204号が通じる。1888年(明治21)から、第三紀層からなる丘陵石炭採掘が始まり、中小企業による炭鉱の町として発展し、1930年(昭和5)には旧国鉄松浦線(現、松浦鉄道西九州線)が開通し、石炭輸送に大きな役割を果たし、1950~1960年の炭鉱最盛期には人口1万3000を数え、町内就業人口の3分の1は炭鉱従業者で占められた。1960年以後は炭鉱不況となり、1965年前後には炭鉱皆無となって人口は半減した。農業は米作のほかイチゴ、メロンの特産化を図り、牧場増設やクリ栽培も行われている。福井川上流の国指定史跡の福井洞穴は旧石器時代から縄文先期の遺跡で、内裏山(だいりやま)には安徳(あんとく)天皇潜行の伝説がある。また松浦(まつら)党の一族志佐氏(しさうじ)の直谷城址(なおたにじょうし)がある。御橋観音シダ植物群落(おはしかんのんしだしょくぶつぐんらく)は国の天然記念物に指定されている。樽川内(たるごうち)・高峰(たかみね)地区は大規模な地すべり地帯である。

[石井泰義]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例