日本歴史地名大系 「吉隠村」の解説 吉隠村よなばりむら 奈良県:桜井市朝倉・初瀬・上之郷地区吉隠村[現在地名]桜井市大字吉隠初瀬村の東方、式上・宇陀郡界にある渓谷集落。「日本書紀」持統天皇九年一〇月条に「乙酉に菟田の吉隠に幸す。丙戌に吉隠より至します」とみえる。「万葉集」に吉隠の猪養(いかい)岡・浪柴(なみしば)・夏身(なつみ)を詠んだ歌数首がみられる。この猪養岡・夏身については吉野郡吉野町大字飯貝(いいがい)・菜摘(なつみ)説も有力。西大寺田園目録には「城上郡吉穏内一段字吉穏西荒堀」とある。当村には春日・天満・狭井(さい)神社が鎮座、天満神社石灯籠には「愛宕社 貞享四卯年」「大神宮 文政十三寅春 御影年 御領主様 武運長久」と刻む。小字尾崎には慶長一二年(一六〇七)、小字角垣内(すまがいと)には元和五年(一六一九)の名号碑、背光五輪碑などが残っている。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報