最新 地学事典 「同位体分別作用」の解説
どういたいぶんべつさよう
同位体分別作用
isotopic fractionation
物理的・化学的変化によって同位体存在比に変化をもたらす作用。単一過程での同位体の分別効果は一般にわずかであり,例えば25℃で平衡にある水と水蒸気では,水は後者よりH216O/H218O比が約0.6%小さいに過ぎない。しかし平衡を保ちながら水蒸気を次々と除くいわゆるRayleigh蒸留法(Rayleigh distillation)により,残留水中にH218Oを著しく濃縮できる。最初の水の量のf%を蒸発除去したときの残留水のH216O/H218O=Rf, 最初のそれをR0とすると,Rf=R0(1-f/100)α-1=R0(1-f/100)0.006である。ただしαはH216OとH218Oの25℃での蒸気圧比で1.006。f=20,99,99.9%での残留水の18O濃縮度(R0/Rf-1)×100は,それぞれ0.03, 2.72, 4.06%となる。海水の蒸発,凝集(降雨・雪)に伴う重水素水,重酸素水の分別は地球化学的によく研究されている。その他の分別作用には同位体交換反応,非可逆過程での同位体効果や拡散によるものがある。地質学的過程でのO, S, Cなどの非金属元素の同位体分別効果は数%以上になるが,金属元素のそれは無視できるほど小さい。
執筆者:酒井 均
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

