改訂新版 世界大百科事典 「名主組合」の意味・わかりやすい解説
名主組合 (なぬしくみあい)
近世の江戸において,町奉行および町年寄の下に町方支配を担当した名主(町名主)の地域別グループ編成をいう。1713年(正徳3)に933町,45年(延享2)に1678町を数えた町々に,1715年には196人,1722年(享保7)には264人の名主がいた。名主の重要な職務である町触(まちぶれ)の伝達の便宜などのために,すでに正徳期(1711-16)には日本橋北・中・南組合,神田組合,芝組合などの地域別編成が行われ,組合ごとに年番名主が選出されていたが,その成立時期は明らかではない。1722年には享保の改革政治の中で惣町の名主を1番組から17番組に分ける新たな組合制度が発足した。組合ごとに町政に励み,町入用を節減することを目的とするものであった。49年(寛延2)までには21番組までが加えられ,新吉原と品川を番外として23組の名主組合が幕末まで続いている。また90年(寛政2)には肝煎(きもいり)名主が,1831年(天保2)には世話掛名主が組ごとに任ぜられて組中の取締りにあたるようになっている。
執筆者:松崎 欣一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報