肝煎(読み)きもいり

日本大百科全書(ニッポニカ)「肝煎」の解説

肝煎
きもいり

室町時代や江戸時代の各種の団体の世話役。「入」とも書く。一般には、室町時代の郷村や江戸時代の村の世話役や村役人庄屋(しょうや)・名主役)をさす。語源は「肝を入れる」(とりもつこと)に由来するという。ただし江戸時代には、江戸などの町役人の名称にも用い、商人や職人の世話役も肝煎とよび、転じて奉公人雇入れの周旋屋をも肝煎屋といった。また武士の場合にも、高家(こうけ)、寄合(よりあい)、同心の世話役を肝煎といい、明治時代の国立銀行にも頭取(とうどり)、肝煎が置かれた。

[上杉允彦]

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精選版 日本国語大辞典「肝煎」の解説

きも‐い・る【肝煎】

〘他ラ四〙
※俳諧・雑談集(1692)下「ころぶも恥にならぬ雪ふり〈其角〉 忍ぶこひ身につまされて肝(キモ)いらん〈遠水〉」
※虎明本狂言・石神(室町末‐近世初)「まへかどわらはをきもいられたおかたが御ざ有程に」

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旺文社日本史事典 三訂版「肝煎」の解説

肝煎
きもいり

農村・町方の諸機関の世話役
「肝入」とも書く。①江戸時代,農村の村役人の名。奥羽地方加賀藩で名主(庄屋)をさす。
②商人の仲間の全体の世話人
幕府の職制で,高家肝煎・寄合肝煎など各職の頭分の人をさす。

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世界大百科事典内の肝煎の言及

【職業紹介】より

…また学校の場合は,公共職業安定所の業務の一部を分担するという形で職業紹介を行うことができるようになっている(同法25条の3)。
[日本の職業紹介制度]
 日本の職業紹介事業は江戸時代から,肝煎(きもいり),口入屋,桂庵などと呼ばれる民間の営利事業として発達してきた。明治以降もこれらは存続したが,ややもすれば中間搾取,強制労働,人身売買等の弊害を伴っていた。…

【名主】より

…近世における村の長。名主のほかに庄屋,肝煎(きもいり)等の称があり,一般的には東国では名主,西国では庄屋が多い。いずれも中世からの伝統を引く語で,名主は中世の名主(みようしゆ),庄屋は荘(庄)園の屋敷からきた語とされている。…

【町名主】より

…農村を支配する名主と区別して町名主と呼んだ。職名も都市により相違があり,大坂では町年寄,岡山では名主年寄,仙台では検断・肝煎(きもいり),若松では検断,名古屋・犬山・長岡では町代,姫路では年寄,金沢では肝入,岡崎・飯田では庄屋,駿府では丁頭など多様な名称が用いられている。 1590年(天正18)徳川家康が江戸に入ったとき,町の支配役としては(1)入国以前から江戸にいた者から取り立てられた者がおり,さらに(2)家康入国後命ぜられた者,(3)江戸で町屋が建設されるさいに町役頭ないし名主と呼ばれた者がいた。…

【村方三役】より

…近世の村役人。名主(庄屋,肝煎(きもいり)),組頭(長(おとな)百姓,年寄),百姓代の総称。(1)名主・庄屋は村の長で,初期には前代の名主百姓や荘園の下司(げし)の系譜を引く有力農民がその地位についた。…

※「肝煎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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