名手ノ渡(読み)なてのわたし

日本歴史地名大系 「名手ノ渡」の解説

名手ノ渡
なてのわたし

紀ノ川の北岸、西野にしの村から対岸北脇きたわき村に渡る船渡しで、名手横渡とよばれた。大和街道を東野ひがしの(現粉河町)で分れた高野街道は、この渡しを渡り、南東に進んで麻生津おうづ峠を越えた。

寛永一〇年(一六三三)古くからあったと思われる横渡し船を恒常的なものにする計画が立てられ、勧進が行われた(「名手渡し舟勧進帳」堀家文書)。これには那賀郡だけでなく、伊都いと郡の村々も拠金に応じ、同一二年には渡船の料金が定められた(「名手庄船衆渡し船料定」同文書)。万治三年(一六六〇)の名手横渡し船寄銀帳(同文書)には、高野山学侶・行人・聖をはじめ、粉河こかわ(現粉河町)根来ねごろ(現岩出町)那賀伊都郡の村々の寄銀が記され八〇二分八厘が集められたが、この時世話役として署名した三八人によって船衆仲間である官頭座が形成された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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