君主無答責の原則(読み)くんしゅむとうせきのげんそく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「君主無答責の原則」の意味・わかりやすい解説

君主無答責の原則
くんしゅむとうせきのげんそく

君主は、その行為について、だれに対しても政治上・法律上の責任を負わない、という原則。イギリスでは古くから「王は悪をなさず」King can do no wrong.ということばによってこの原則が憲法上の慣習として認められてきた。したがって中世以来、イギリスにおいては、悪政に対する責任は大臣が負うものとされ、大臣に対する弾劾制度が発達した。こうして君主無答責の原則は、立憲君主制をとる国に共通なものとなった。戦後の日本では、天皇国政に関する権能は有せず、天皇の行う国事行為については内閣が責任をとるとされる。国事行為には内閣の助言と承認が必要である(憲法3条)ということがその法的根拠と考えられる。また、天皇は、象徴的地位にあること(憲法1条)、摂政(せっしょう)は在任中訴追されないこと(皇室典範21条)などから、刑事法の適用を受けることはない。しかし民事上の責任は免れないものとされている。

田中 浩]

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