周易参同契(読み)しゅうえきさんどうかい(英語表記)Zhōu yì sān tóng qì

改訂新版 世界大百科事典 「周易参同契」の意味・わかりやすい解説

周易参同契 (しゅうえきさんどうかい)
Zhōu yì sān tóng qì

中国の錬丹術(不死の薬を作る秘術)のテキスト。後漢の魏伯陽の著として伝承されてきたが,確かなことはわからない。《易》(儒)と老荘(道)の哲学によって丹道(仙)を権威づけようとする,三位一体(参同)説がその背後にあるといわれるが,文章はなぞにみちていて理解が容易ではない。それまではあまり研究されなかったが,宋以後,〈万古丹経の王〉として内丹家(体内で丹を錬成しようとする人々)からきわめて重んぜられた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「周易参同契」の意味・わかりやすい解説

周易参同契
しゅうえきさんどうけい

中国、三国・呉の魏伯陽(ぎはくよう)の撰(せん)と伝える道教の書。3巻。『周易』に託して仙家錬丹の法を説く。伯陽は上虞(じょうぐ)(浙江(せっこう)省)の人で、葛洪(かっこう)の『神仙伝』巻1に『参同契五行相類』3巻をつくったとある。現在、『参同契五相類秘要』1巻が道蔵洞神(とうしん)部に収められている。ほかに『周易参同契』を標題とする注書数種が道蔵太玄(たいげん)部に収められており、宋(そう)の朱熹(しゅき)(朱子)も鄒訢(すうき)(朱熹と同音)の寓名(ぐうめい)で『参同契考異』を書いている。『周易』との関係から、儒家にも注目された書である。

[澤田瑞穂]

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世界大百科事典(旧版)内の周易参同契の言及

【練丹術】より

…《漢書》芸文志は神僊(仙)家の著作の一つとして《泰壱雑子黄冶(たいいつざつしこうや)》を著録し,やはり丹砂を黄金に変える術について説いたものだという。後漢の魏伯陽の《周易参同契(しゆうえきさんどうかい)》は《易経》のシンボル,とりわけ乾(けん)(天)と坤(こん)(地),坎(かん)(水)と離(り)(火)の卦のシンボルにかりて練丹のメカニズムを説いたが,比喩と隠語に満ち,難解をきわめる。東晋の葛洪(かつこう)の《抱朴子》では〈金丹篇〉と題する金液と丹薬にかんする1章においてさまざまの丹薬製造の方法が説かれ,なかでも左慈(さじ)が神人から授けられ,以後,左慈から葛玄,鄭隠,葛洪へとつぎつぎに伝授された《太清丹経》《九鼎丹経》《金液丹経》にもとづく練丹術が重視されている。…

※「周易参同契」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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