和宮降嫁問題(読み)かずのみやこうかもんだい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和宮降嫁問題」の意味・わかりやすい解説

和宮降嫁問題
かずのみやこうかもんだい

江戸時代末期,公武合体の象徴として幕府がとった措置で,皇妹和宮親子 (ちかこ) と第 14代将軍徳川家茂 (いえもち) との婚姻に関連した政治問題。井伊大老暗殺後,幕府老中安藤信正,久世広周は,朝廷を中心とする尊王攘夷運動を鎮撫して,幕府の権力を安定させようとし,孝明天皇の妹で仁孝天皇の第8皇女和宮を将軍家茂に降嫁されるよう朝廷に申入れた。和宮は有栖川宮熾仁親王との間に婚約がすでに成立していたにもかかわらず,朝廷は攘夷実行を条件に,家茂への降嫁を許可した。万延1 (1860) 年 10月勅許が下り,翌年和宮は江戸におもむいて,文久2 (1862) 年家茂と婚儀をあげた。しかし,この措置はかえって倒幕論を高めた。和宮は家茂の死後,落飾して静寛院宮 (せいかんいんのみや) と称し,官軍の江戸進攻の際には和解斡旋をした。

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