哀れがる（読み）あわれがる

精選版 日本国語大辞典

あわれ‐が・るあはれ‥【哀がる・憐がる】

1. 〘 他動詞 ラ行五（四） 〙 ( 「がる」は接尾語 ) 「あわれ」と感動する気持を外に表わす。「あわれ」に思う様子を見せる。
2. ① 心に愛着を感じたさまを見せる。いとしく思う。なつかしく思う。
   1. [初出の実例]「様かたちもきよげなりければ、あはれがり給うて」(出典：大和物語（947‐957頃）一四六)
   2. 「いとうつくしう、生ひなりにけりなど、あはれがり、めづらしがりて」(出典：更級日記（1059頃）)
3. ② しみじみと感慨深く思っているさまを見せる。感無量に思う。
   1. [初出の実例]「かぐや姫、例も月をあはれがり給へども」(出典：竹取物語（９Ｃ末‐１０Ｃ初）)
4. ③ つくづくと感じ入った様子を見せる。すばらしいと嘆賞する。
   1. [初出の実例]「この歌をこれかれあはれがれども」(出典：土左日記（935頃）承平五年一月七日)
   2. 「これがいとらうたく舞ひつること、語りになむものしつる。みな人の泣きあはれがりつること」(出典：蜻蛉日記（974頃）中)
5. ④ 他に対して深く同情しているさまを表わす。気の毒に思う。ふびんに思う。
   1. [初出の実例]「狩しありきけるにいきあひて、道にて馬の口をとりて、かうかうなむ思ふといひければ、あはれがりて、来て寝にけり」(出典：伊勢物語（１０Ｃ前）六三)
   2. 「死にければ、陣の外(と)にひき捨てつといへば、あはれがりなどする夕つかた」(出典：枕草子（１０Ｃ終）九)
   3. 「頻りにお芳を憫然(アハレ)がりて、義妹にしたしとこひいのれば」(出典：当世書生気質（1885‐86）〈坪内逍遙〉四)
6. ⑤ 悲しいと思う様子を表わす。悲しみ嘆く。
   1. [初出の実例]「御文そへてまゐらす。ひろげて御覧じて、いとあはれがらせ給ひて、物もきこしめさず」(出典：竹取物語（９Ｃ末‐１０Ｃ初）)

哀れがるの語誌

→「あわれぶ（哀・憐）」の語誌

出典　精選版 日本国語大辞典