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当世書生気質 とうせいしょせいかたぎ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

当世書生気質
とうせいしょせいかたぎ

坪内逍遙の小説。 1885~86年発表。角書 (つのがき) 「一読三歎」。作者が『小説神髄』の具体化として書いたものであるが,みずから戯著と呼び,筆者名も「文学士春のやおぼろ先生」としているように,多分に滑稽味を漂わせながら明治初期の学生たちの生態を綴ったところに特色がある。逍遙は 10年前すでに「遊学八少年」の構想をもっていたが,勉強家怠け者,硬派,軟派遊び人というような種々のタイプの地方出の学生たちを登場させて,恋愛や親子兄妹の再会などのロマンスを中心に,彼らの日々の哀歓を写実的に描写し,近代日本文学の先駆となった。

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デジタル大辞泉の解説

とうせいしょせいかたぎ〔タウセイシヨセイかたぎ〕【当世書生気質】

坪内逍遥の小説。明治18~19年(1885~1886)刊。小町田粲爾(こまちださんじ)という書生芸妓との恋愛を中心に、当時の書生風俗諸相を写実的に描き、「小説神髄」の理論の実践化を図ったもの。

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百科事典マイペディアの解説

当世書生気質【とうせいしょせいかたぎ】

坪内逍遥長編小説。1885年―1886年刊。角書(つのがき)は〈一読三嘆〉《小説神髄》の〈人情,世態・風俗の描写〉の主張を実際において示した作品。勧善懲悪を旨とした旧来の作品に対して,当時の学生生活や風俗を写実的に描き,まだ人情本ふうの筋立てに,滑稽本的な挿話が配されるといった戯作(げさく)臭を残してはいるが新しい文学の方向を決定づけた。

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世界大百科事典 第2版の解説

とうせいしょせいかたぎ【当世書生気質】

坪内逍遥の長編小説。1885年(明治18)6月~86年1月,17分冊で刊行。角書に〈一読三歎〉と冠する。私立学校の書生小町田粲爾(さんじ)とかつては小町田の義妹だった芸妓田の次との奇遇と恋愛を描いた人情本ふうの物語に,牛鍋屋,吉原遊廓,温泉など,開化の東京の遊楽地に出没する書生たちの風俗をスケッチした滑稽本ふうの挿話がからむ。上野戦争に遭遇した家族の離散と兄妹の再会というように古風な趣向もすくなくないが,《小説神髄》の模写理論を踏まえるかたちで,明治10年代の陽気で猥雑な書生の生態が活写されている。

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大辞林 第三版の解説

とうせいしょせいかたぎ【当世書生気質】

小説。坪内逍遥作。1885(明治18)~86年発表。「小説神髄」の理論の実践として著されたもので、当時の学生の生活・気質を描写したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

当世書生気質
とうせいしょせいかたぎ

坪内逍遙(しょうよう)の中編小説。「一読三歎(いちどくさんたん)」の角書(つのがき)がある。1885年(明治18)6月~86年1月、全17冊、2月合本2冊、晩青堂刊。著者名は春のやおぼろ。維新の上野戦争で家族と離れ、流離の始まった娘お芳(よし)が王子権現近くで、小町田浩爾(こうじ)・粲爾(さんじ)父子に拾われ、粲爾とともに育つ。芸者となったお芳と書生の粲爾が飛鳥(あすか)山に再会し、2人の愛の深まる過程で、父と兄の努力により親子再会の時がくる。作品の時間は、飛鳥山の再会に始まり主人公粲爾の現在を写しながら進展するが、彼の人情史は、お芳との出会いの時、再会の時、現在進行形の時と、三つの「時」を重ねて、成熟する。書生から紳士への成熟をたどる改良型人情小説という通説に加え、写実小説の深層に流離譚(たん)、因縁譚をもつ立体構造を見直す必要がある。[中村 完]
『『明治文学全集16 坪内逍遙集』(1969・筑摩書房)』

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世界大百科事典内の当世書生気質の言及

【書生】より

…明治維新後,遊学の自由化,私塾や専門学校の隆盛とともに,〈書生〉という呼び名が急速に普及した。坪内逍遥が《一読三歎 当世書生気質》を発表したのは1885年から86年にかけてであった。この小説が写実主義を標榜することができたのも,この当時東京,大阪などの大都市に学問を求める青年たちが集中し,一つの社会層を形成するようになったことのあらわれとみられる。…

※「当世書生気質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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