化学辞典 第2版 「固体核磁気共鳴法」の解説
固体核磁気共鳴法
コタイカクジキキョウメイホウ
solid state nuclear magnetic resonance
固体NMR法ともいう.近年,高磁場(920 MHz)が開発され,溶液に溶けない無機材料物質,金属酸化物,ゼオライト,粘土物質,従来の難溶性有機化合物,高分子材料などの構造解析に有効に使われるようになった.溶液と違い固体物質の場合は,分子中の電子がつくる微小磁場の向きは静磁場に対して平均化されないので,NMR信号の集合で幅広になる.これらを取り除くために試料を磁場に対して54.7°(マジックアングルとよぶ)に傾け,数 kHz 以上の磁場のもとで高速回転させることにより磁気異方性効果が最小になり,さらに,1H 核と 13C 核の強い双極子相互作用を消すために強い高周波磁場(ハイパワーデカップルとよぶ)を与えると,溶液に近い信号が得られる.測定核種は 1H,13C,27Al,29Si,31P,19F,15N,23Na などほとんどが測定できる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報