国境紛争(読み)こっきょうふんそう(その他表記)boundary dispute

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国境紛争」の意味・わかりやすい解説

国境紛争
こっきょうふんそう
boundary dispute

一国家の領域と他国家の領域との境界線をめぐる紛争国際紛争のなかでも重要で,解決困難なものであり,そのためしばしば武力衝突を引起している。国境紛争の原因としては,次の3つがあげられる。 (1) 条約などで国境が画定されたが,それが不明確ないし不合理なために条約の解釈をめぐって紛争が生じる場合,たとえば 1969年の中ソ間の珍宝島事件。 (2) 国境が明確に画定されていないために紛争が生じる場合,たとえば 63年モロッコ=アルジェリア間の国境紛争。新興独立国間の国境紛争はこのようなケースが多い。 (3) 国境線について両国主張が相違しているために紛争が生じる場合,たとえば 62年のチベット国境をめぐる中印国境紛争イランイラク戦争など。国境紛争の多くはその性質から,法律的紛争として国際司法裁判所などの調停にゆだねるのが妥当であるが,たいていの場合当事者にその意思がないのが実情である。

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世界大百科事典(旧版)内の国境紛争の言及

【国境】より

… 国境は国家にとって非常に重要であるから,これをめぐって,これまで多くの国際紛争が発生し,しばしば戦争にまで拡大した。しかしながら,19世紀には,国境紛争を平和的に解決しようとする傾向があらわれはじめた。そこで,当事国が交渉して国境条約を締結した例として,1848年のアメリカ・メキシコ国境条約,1963年の中国・パキスタン国境条約などがある。…

※「国境紛争」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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