珍宝島事件(読み)ちんぽうとうじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「珍宝島事件」の意味・わかりやすい解説

珍宝島事件
ちんぽうとうじけん

1969年3月2日と3月 15日,中国とソ連国境になっているウスリー川上の珍宝島 (ロシア名ダマンスキー島) の領有をめぐって中ソ国境警備隊同士が衝突した事件。ソ連側は 42名の死者を出しながらも火力で中国を圧倒したが,この事件を契機に以後中国は 70年代を通じてソ連を主要敵に設定した。露清間の国境を画定した 1860年北京条約の付属地図を根拠とするソ連と,「境界線は主要航路の中心線」とする中国が長らく対立したが,国境での衝突自体は 69年9月のコスイギン=周恩来会談で紛争抑止と国境問題の協議が決りその後下火になった。 89年5月の中ソ関係正常化後,91年5月東部地区国境協定が調印され,この地域の国境線は中国の主張にそって再画定された。 (→中ソ国境紛争 )

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