国民経済学原理(読み)こくみんけいざいがくげんり(その他表記)Grundsätze der Volkswirtschaftslehre

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国民経済学原理」の意味・わかりやすい解説

国民経済学原理
こくみんけいざいがくげんり
Grundsätze der Volkswirtschaftslehre

C.メンガー主著で 1871年に刊行された。教授資格請求論文としてウィーン大学に提出されたもので,旧歴史学派の一人である W.ロッシャーに献呈された。メンガーは同書で,古典派経済学の立脚する労働価値説,生産費説をきびしく批判し,主観価値学説を主張した。またメンガー自身は数学を使用することはなかったものの,いわゆる「メンガー表」は,条件付き最大化問題の原型と解しうるもので,その後の経済学の展開からみても高く評価される。彼の経済学がどの程度革命的であったかについては,研究者の間で意見の一致をみていないが,メンガー以前のドイツ経済学と『国民経済学原理』との間には大きなへだたりはないとする E.シュトライスラーの見解は,近時における有力な見解の一つである。第2版は死後 1923年に息子の K.メンガーの手によって公刊されている。

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世界大百科事典(旧版)内の国民経済学原理の言及

【オーストリア学派】より

…そして費用とは失われた効用であると考える機会費用の概念が説かれ,生産要素の価値はそれから生産される消費財の効用にもとづく価値が帰属するものであると考えられた。 C.メンガーは1871年に《国民経済学原理》を刊行,翌年それによりウィーン大学の私講師となり,79年に経済学正教授に就任した。《原理》においてメンガーは,効用の意義を強調するだけでなく,完全な市場を分析の対象としたワルラスとは異なり,不完全な市場に関心をもち,したがって価格だけでなく商品の売れやすさ,つまり販売力を問題とし,販売力最大の商品として貨幣を考察した。…

【メンガー】より

…その後,総理府の新聞局に入り市場報告書を作成するうちに,価格理論への強い関心をもちはじめた。1871年に出版された《国民経済学原理》では,ほぼ同時期に限界革命の基礎を開拓したS.ジェボンズやL.ワルラスの著作よりもはるかに明解に,効用,価値,価格の関係が論じられている。メンガーの第2の主著《経済学と社会学の諸問題》(1883)は,社会科学における理論の重要性の問題をとり上げている。…

※「国民経済学原理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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