日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際熱帯木材協定」の意味・わかりやすい解説
国際熱帯木材協定
こくさいねったいもくざいきょうてい
International Tropical Timber Agreement
略称ITTA。北回帰線と南回帰線との間に位置する国において生育、または生産される産業用木材を熱帯木材という。この熱帯木材に関する国際協力を促進するための国際商品協定。1976年の国連貿易開発会議(UNCTAD(アンクタッド))第4回総会で採択された一次産品総合計画(IPC)に関する決議に基づき、83年にジュネーブで開催された国際熱帯木材会議で「83年協定」が採択され、85年に発効した。続いて94年に開かれたITTA改訂交渉会議で「94年協定」が採択され、97年に発効した。
ITTAは、熱帯木材の貿易拡大と多様化、研究開発の促進、造林と森林経営の支援、市場情報の改善、生産国における加工度の向上を目的としており、「94年協定」には、2000年までに熱帯木材の輸出をもっぱら持続可能な経営が行われている供給源からのものとする「2000年目標」が追加された。また、「94年協定」を継承する「2006年協定」が2006年1月に採択され、2008年発効。
2007年現在の加盟国は60か国(生産国33、消費国27)およびヨーロッパ連合(EU)で、日本は「83年協定」以来、消費国として加盟している。ITTAの実施機関として国際熱帯木材機関International Tropical Timber Organization(ITTO)が設立されており、国際熱帯木材理事会、経済・市場情報、造林・森林経営、林産業の3常設委員会、および事務局で構成され、本部は横浜に置かれている。
[横川 新]