デジタル大辞泉 「打ち入る」の意味・読み・例文・類語 うち‐い・る【打ち入る】 [動ラ四]1 勢いよく中に入る。「庭に―・り縁の際きはに寄り給ひて」〈義経記・二〉2 物事に熱中する。心を打ち込む。「明け暮れ碁に―・りて」〈浮・織留・二〉[動ラ下二]1 ひょいと入れる。無造作に収める。「三寸ばかりなる人、…手に―・れて家へ持ちて来ぬ」〈竹取〉2 ばくちなどに財産や金品をつぎ込む。入れあげる。「ばくちの負け極まりて、残りなく―・れんとせんに合ひては、打つべからず」〈徒然・一二六〉3 勢いよく馬を乗り入れる。「武者一騎、沖なる舟に目をかけて、海へざっと―・れ」〈平家・九〉4 軍勢をまとめて引き上げる。退却させる。「人数ヲ―・ルル」〈日葡〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「打ち入る」の意味・読み・例文・類語 うち‐い・る【打入・討入】 [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙① ( 「うち」は接頭語 ) 無造作にひょいと入れる。[初出の実例]「手にうち入て家へ持ちて来ぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))② ばくちなどをして、金品をつぎこむ。[初出の実例]「ばくち不合の者にて、身のしゃうぞくなどはみなうちいれて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)③ ( 「うち」は接頭語 ) 勢いよく入れる。[初出の実例]「鼻て粥の鋺にふたと打入れつれば」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)「泥土の中へ馬を打入れ、我先にとぞ進みける」(出典:太平記(14C後)九)④ ( 「うち」は接頭語 ) 味方の軍勢を退却させる。[初出の実例]「Vchiire, ruru, eta(ウチイルル)〈訳〉戦陣の人々を退却させる、または逃げ込ませる」(出典:日葡辞書(1603‐04))⑤ 鷹狩りに用いる犬をせめたたいて、鷹に襲いかからないようにならす。打って仕込む。[初出の実例]「イヌヲ vchiiruru(ウチイルル)。〈略〉 Vchiireta(ウチイレタ) イヌ」(出典:日葡辞書(1603‐04))⑥ たたいて入れる。[初出の実例]「是がくいをうちいるると同ぢゃ」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)一一)[ 2 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙① 勢いよくはいりこむ。また、攻め込む。襲いかかる。[初出の実例]「馬を走せて山に打入て見ければ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)「海北にかまえて浪打入る所を」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)象潟)② 軍勢が退却する。[初出の実例]「Vchiiri, ru, itta(ウチイル)〈訳〉戦陣の人々が逃げ込む、または、退却する」(出典:日葡辞書(1603‐04))③ 囲碁などに熱中する。熱心にうつ。[初出の実例]「明暮れ碁に打入て」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例