土持氏(読み)つちもちうじ

改訂新版 世界大百科事典 「土持氏」の意味・わかりやすい解説

土持氏 (つちもちうじ)

平安時代以降,日向国諸県(もろかた)郡地方を本拠とした豪族。田部姓。その発祥には諸説あるが宇佐八幡の神人(じにん)として豊後から移ってきたという。《八幡宇佐宮御神領大鏡》那珂荘の項に諸県大夫田部宗綱とあり,諸県郡より那珂荘へ進出したのであろう。その孫栄妙は後の信(宣)綱で,1197年(建久8)の《日向国図田帳》によれば,八条院領国富荘,宇佐宮領,公領など広範囲に地頭職や弁済使職を有していることがわかる。古来の有力在庁官人日下部氏と縁戚関係を結び,同氏相伝の在国司職も1187年(文治3)公領右松村とともに宣綱が相伝している。早く御家人として勢威をたかめ,一族は日向各地に繁衍はんえん)した。俗に土持七頭の称もある。南北朝期は足利方に属し,南朝方の肝付(きもつき)氏らと各地に転戦室町・戦国期に至り日向南部の土持氏は伊東氏に,北部の同氏は大友氏に滅ぼされた。島津氏の日向進攻後,その一流は島津氏の家臣団中にくみこまれている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 五味

世界大百科事典(旧版)内の土持氏の言及

【日向国】より

…在庁官人は大半が日下部氏で,同氏は在国司職や郡司職を世襲するなど国衙を中心に繁衍した。田部姓土持(つちもち)氏はその縁族として台頭し,中部から北部にかけて勢威を張った。
【中世】

[守護と在地武士]
 鎌倉幕府は島津荘惣地頭島津忠久を日向国守護職に補任したが,島津氏は比企氏の乱により守護・地頭両職とも改易され,代わって北条氏が相伝した。…

※「土持氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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