改訂新版 世界大百科事典 「在日本大韓民国居留民団」の意味・わかりやすい解説
在日本大韓民国居留民団 (ざいにほんだいかんみんこくきょりゅうみんだん)
大韓民国を支持する在日韓国人の団体。1994年4月,この名称から〈居留〉を外して在日本大韓民国民団と改称した。略称民団。1946年10月,同年1月に結成された新朝鮮建設同盟が左派の在日本朝鮮人連盟に対抗して在日同胞の自由主義保守陣営の大同団結をすすめるため,朝鮮建国促進青年同盟などの諸団体を合わせて在日本朝鮮居留民団(民団)を結成し,民生安定,文化向上,国際親善などをその綱領とした。48年8月大韓民国が樹立されてから,同年10月民団第2回大会で表題の名称に改められ,綱領もまた大韓民国の国是遵守,在留同胞の民権擁護が加えられた。民団は50年の朝鮮戦争に際し約700人の在日青年の志願兵を派遣し,また59年の朝鮮総連の共和国帰国運動の反対阻止運動を展開した。60年4月李承晩政権の崩壊以後成立した朴正熙政権を積極的に支持するとともに,日韓会談ならびに65年6月の日韓条約の締結を支持,在日韓国人の法的地位協定による協定永住権の獲得をすすめ,その申請者は71年1月約35万に上った。1970年代に入り韓国の民主化運動をめぐって民団内部に対立が生まれ,中央総本部と東京本部,神奈川県本部,在日本韓国青年同盟,在日本韓国学生同盟などとの対立が激化し,これらの反主流派は73年韓国民主回復・統一促進国民会議日本本部(韓民統)を結成して民団組織から除名され,民団は新たに青年会,学生会を組織して組織の再編につとめた。民団は韓国の〈維新体制〉の積極支持,在日同胞の故郷訪問,セマウム(新しい心)運動につとめ,また在日同胞に対する日本当局の行政差別反対運動に取り組んでいる。
→在日朝鮮人
執筆者:朴 慶 植
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報