最新 地学事典 「地震のエネルギー」の解説
じしんのエネルギー
地震のエネルギー
earthquake energy ,seismic energy
地震は,地球内部の岩石に蓄えられた歪みエネルギーの一部が,断層運動を通して,波動エネルギーに変換される現象である。この過程に関与するエネルギーには,解放される歪みエネルギーEと放出される地震波エネルギーEsのほか,断層面上で散逸される摩擦仕事W,新しい破壊面の形成に使われる表面エネルギーΦ,重力に対する仕事Uなどがある。このときエネルギーの保存則はE=Es+W+Φ+Uのように表される。単に地震エネルギーという場合は,解放される歪みエネルギーのことを指すことが多いが,ときどき地震波エネルギーを指す場合もある。断層形成前の応力をσ1,形成後の応力をσ2,断層面積をS,食違いをDとすると,解放される歪みエネルギーはE=1/2(σ1+σ2)SDと表される。したがって,Eを求めるためには震源域に加わっている応力σ1,σ2の値が必要となるが,これはふつう測定困難である。地震波のエネルギーEsは,原理的には,震源を取り囲む球面(震源球)上で流出する波動エネルギーを積算することにより得られる。実際には観測点がまばらなため,いくつかの仮定を置いて計算する。また,実用的な計算方法として,グーテンベルク-リヒターの経験則logEs=1.5Ms+4.8(Es:単位J)を用いる方法がある。Msは表面波マグニチュードである。EsとEの比(η=Es/E)は,地震効率または地震波効率と呼ばれる。ηの値は地震によって0~1の広範囲にわたると考えられている。
執筆者:菊地 正幸
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

