垣衣恋写絵(読み)しのぶぐさこいのうつしえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「垣衣恋写絵」の意味・わかりやすい解説

垣衣恋写絵
しのぶぐさこいのうつしえ

歌舞伎所作事。常磐津浄瑠璃曲名通称荵売 (しのぶうり) 』。また『双面 (ふたおもて) 』ともいう。安永4 (1775) 年江戸中村座の『色模様青柳曾我』2番目に初演宝暦 12 (62) 年の先行作をふまえて,1世河竹新七が書きおろしたもの。大日坊亡霊 (1世中村仲蔵初演) が荵売の女の姿にやつして双面の所作を演じる。女方の娘道成寺を模して構成され,鐘入,押戻しが付けられる。のちに4世市川団蔵のために奈川七五三助が大日坊を法界坊に脚色し直したものが伝わる。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「垣衣恋写絵」の解説

垣衣恋写絵
(別題)
しのびぐさ こいのうつしえ

歌舞伎・浄瑠璃の外題
元の外題
忍草恋写絵
初演
安永4.1(江戸・中村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の垣衣恋写絵の言及

【隅田川続俤】より

…全体としては色と欲とに溺れきった法界坊の破戒無慚(むざん)な悪行を三枚目風な扱いで処理する表現に,観客のみならず演者側にも人気の重点がある。またこの人気を支えている要素の一つに,大切浄瑠璃所作事《垣衣恋写絵(しのぶぐさこいのうつしえ)》がある。これは《双面》《売》《法界坊》とも通称される舞踊劇で,主人公法界坊に清玄の性格も加わり変化に富み,狂言と離れて舞踊会でも頻繁に上演されている。…

【双面】より

…現代では《双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)》の名題で上演することが多い。1775年(安永4)1月江戸中村座上演《色模様青柳曾我》の二番目大切《垣衣恋写絵(しのぶぐさこいのうつしえ)》が原曲で,初世中村仲蔵が主役の大日坊を踊った。このとき同座した4世市川団蔵が1784年(天明4)5月大坂藤川菊松座(角の芝居)で《隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)》の法界坊に主役を変えて上演。…

※「垣衣恋写絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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