朝日日本歴史人物事典 「堤磯右衛門」の解説
堤磯右衛門
生年:天保4.2.2(1833.3.22)
明治時代の実業家。日本での工場製石鹸の創始者。武蔵国久良岐郡磯子村(横浜市)の名主堤国造の長男で幼名元次郎。父の死で10代磯右衛門襲名。横須賀造船所工事の監督の際,フランス人舎密(化学)工で写真師のボイルから製法を伝授され,丸善の早矢仕有的らの協力で明治6(1873)年3月「石鹸ニ紛ラ(ハ)シキ廉品」を製出,4月三吉町(横浜市中区)に製造場を開設,7年化粧石鹸の生産を始める。10年経営安定とともに伝習生を受け入れる。「経歴書」には「透明石鹸」とある。14年勧業博で有功2等受賞するが,不況と競争激化で23年5月生産中止,26年廃業した。<参考文献>『花王石鹸五十年史』『神奈川県史・人物』,楫西光速『日本産業資本成立史論』
(小林正彬)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報