堺鑑(読み)さかいかがみ

日本歴史地名大系 「堺鑑」の解説

堺鑑
さかいかがみ

三巻三冊

異記 堺かゝ美 衣笠一閑著

成立 天和三年 貞享元年刊

版本 国会図書館

解説 堺に関して板行された数少ない地誌の一。上巻には神廟宮室陵墓、中巻には古跡・古事并戦場・寺観、下巻には人物・名物土産を収める。記述は当時の他の史料に照らしてみても正確で、史料的価値が高く、とくに下巻の人物門以下は注目に値し、茶人・名器・名物の記載が詳しく、中世末以来蓄積されてきた堺の茶の湯の伝統をよく伝える。同時に全巻にわたって名所旧跡の説明に大半を費やし、土産の一項を加え、案内記としての体裁を強めていることは、当時の堺が近世初頭のような活発な商工業都市的性格が大きく衰退し、むしろ過去の遺産に立脚した観光都市的なものへと変貌しつつある状況を反映しているとみることができる。

活字本 浪速叢書第一三・「泉州史料」二

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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