朝日日本歴史人物事典 「塚田与右衛門」の解説
塚田与右衛門
生年:正徳5.3(1715)
江戸中・後期の蚕種商人。信濃国小県郡上塩尻村(長野県上田市)の養蚕農家に生まれる。長年,奥州から蚕種を仕入れて各地に販売するかたわら,自ら養蚕を行って養蚕の術をきわめた。これを『新撰養蚕秘書』(1757),『養蚕後篇』という養蚕書にしたため,後者は明治27(1894)年にいたり『訂正養蚕秘書』として刊行された。これらは,信州上田周辺で行われていた,蚕の飼育中に火力をあまり使用しない 涼飼(清涼育)を強調している点が特徴である。何回もの失敗を重ね,その経験の中から多くを学んだという。また幼いころから学問を好んで誹諧を嗜むという一面もあった。<著作>『新撰養蚕秘書』(『復刻日本科学古典全書』8巻),『訂正養蚕秘書』(『蚕桑古典集成』)<参考文献>奥原国雄『本邦蚕書に関する研究』
(松村敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報